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2026.10.26
運動会の企画

AIで解決できる時代、人に相談する価値とは?職場のつながりを考える|AIに聴ける今、人とは何を話そう。

「資料の構成を考えたい。」
「伝えたいことを、分かりやすい文章にしたい。」
そんなとき、同僚へ相談する前にAIとやり取りし、考えを整理する場面もあるのではないでしょうか。

一人で解決できることが増えるのは、前向きな変化です。その便利さを手放す必要はありません。
一方で、「案ができたこと」と、「一緒に働く相手と進め方」が決まったことは別です。

そこで今回は、AIを相談相手として生かしながら、人との相談に何を残し、どうつなぐかを考えます。

仕事の効率化と関係づくりを対立させず、職場の仲間と協力するための使い分けを紹介します。

AIへの相談を「人と話さなくなるから」と否定しない

AIを活用すれば、考えを整理したり、視点を広げたりできます。
まずはその利点を認めたうえで、人との接点を考えてみましょう。

AIにも、考えを広げる相手としての価値がある

AIの役割を、単なる検索や文章作成だけに限定する必要はありません。
2026年公表のP&Gでの商品開発課題を使った実験では、AIを使った参加者は専門分野に偏らない提案を作り、より前向きな感情を報告しました。[1]

ただし、これは特定の課題における結果であり、職場の信頼関係が長期的にどう変わるかまで示した研究ではありません。

この研究を踏まえても、「情報はAI、気持ちは人」ときれいに分け切る説明には慎重でありたいところです。
壁打ちをして視点を増やしたり、話す内容を整理したりする相手として、AIを活用する余地があります。

便利さを保ちながら、減った接点があるかを確かめる

以前なら、先輩への「教えてください」が、その後の雑談につながっていたこともあるでしょう。

また、社員旅行や飲み会、喫煙所の立ち話も、仕事以外の話が始まる機会になる場合がありました。

とはいえ、AIを使うと誰もが孤立する、相談が必ず減る、と決めつけることはできません。
自社で、質問が自己解決に変わったのか、必要な相談まで止まっているのかを分けて見ることが重要です。
交流を残すために、わざと非効率な調べ物を続けてもらう必要はありません。

「答えを得る相談」と「一緒に進める相談」を分ける

しかし、AIが案を出せても、実際の仕事では関係者への確認が欠かせません。
まずは相談の目的を整理することが大切です。

一般的な案と、相手の事情は同じではない

例えば、業務の分担案をAIと整理できても、相手の部署に今どれだけ余裕があるか、何を優先しているかは、確認が必要です。
社内情報を扱える仕組みを使う場合も、その情報が最新か、実際に引き受けられるかは分けて確かめましょう。

AIの能力に線を引くのではなく、仕事の中の「確認」と「合意」を省かないことが大切です。
良い案が出たとしても、それだけで担当者の承諾を得たことにはなりません。

誰に、何を確かめる相談なのかを明らかにする

次の表は、相談内容を整理するための例です。
なお、AIの利用は会社が認めた範囲で行い、すべての相談でAIを先に使う必要はありません。

相談したいことAIを使う場面の例人や原資料に確かめること
考えを整理したい論点や選択肢のたたき台をつくる前提となる事実と、選択肢の実行条件
相手に依頼したい伝える内容や質問を短く整理する相手の事情、引き受けられる範囲
チームで決めたい案ごとの利点や懸念を並べる当事者の意見、決定権限、担当と期限
仕事の進め方に迷う自分が困っている点を言葉にする必要な支援、優先順位、会社側の対応

AIとのやり取りで「何を聞きたいか」が明確になれば、人との相談をより具体的に始められます。

一方、整理がつかない段階でも、同僚や担当者へ相談できる余地は残しましょう。完成した資料を持ってこないと話を聞いてもらえない職場にはしないことが大切です。

AIで整理し、当事者と確認し、進め方を決める

資料を囲んで進め方を話し合う人たち。

AIで作った案を仕事に生かすには、当事者との確認と合意が必要です。
ここでは納期調整を例に、その流れを考えます。

例:別部署へ、納期の調整を相談する場合

ここからは、相談の流れを考えるための架空の業務場面です。
特定の企業の実例や、効果を検証した手順ではありません。

営業担当者が、制作部門に納期の変更を相談するとします。

まずはAIを使って、まず入力してよい情報の範囲で、「納期を変える」「納品物を分ける」「作業範囲を見直す」といった案と、確認すべき項目を整理しましょう。

次に、社内の担当者へ事実を確かめます。
顧客と何を約束しているか、制作のどの工程が終わっているか、変えると誰に影響するかを明確にしましょう。

ここでは、AIの案を結論として押し付けず、実際の条件をそろえることが重要です。

提案を渡すときに「決めていないこと」も伝える

例えば、相談の入口を次のように組み立てます。
これは文章例です。

「進め方を三つに整理しました。
ただ、制作側の今週の予定は確認できていません。
各案で難しい点を教えてください。
そのうえで、変更する範囲と日程を相談したいです」

整った提案ほど、既に決定したことのように感じさせない配慮が必要です。

そのため、案・確認済みの事実・未確認事項を分けて渡しましょう。
そうすれば、相手もどこに意見を出せばよいか分かりやすくなります。

最後に、関係者と選んだ進め方、判断した人、担当、期限を、会社の正式な連絡経路に残します。
「AIがそう提案した」ではなく、「自分たちは何を確認し、どう決めたか」を共有するところまでが、仕事の相談です。

人への相談につなぐために、三つの扱いをそろえる

AIの提案を人との相談につなぐには、情報の正確さ、相手への理解、情報の扱いに注意が必要です。
具体的に三つの観点を確認しましょう。

1.もっともらしい答えにも、確認する箇所を残す

米国国立標準技術研究所の生成AIに関する資料では、誤った内容を自信のある形で生成するリスクが整理されています。[2]

自然な文章で返ってきたことと、内容が正しいことは別に考えます。

そのため業務で生成AIを使う場合は、金額、日付、規程、出典など、判断に影響する情報を元の資料や担当者で確認しましょう。
「確認済み」「要確認」を案の中で分けておくと、同僚との相談でも論点を共有できます。

また、他人へ送る文章も、自分で読み、意図や事実に合っているかを確かめましょう。
相手の指摘で誤りに気付いたら、生成した道具のせいにせず、内容を訂正する姿勢を持つことが大切です。

2.実在の人の気持ちを、AIの推測で確定しない

返事が短い、反対意見を言われた、という出来事から、「相手は自分を嫌っている」とAIに判断してもらうのは避けたい使い方です。
説明の候補が出ても、それは本人の意見を聞いたことにはなりません。

そこでAIを使うなら、「確認できている事実は何か」「別の可能性は何か」「本人に何を尋ねるか」を整理する方向にしましょう。
人への理解を、本人とのやり取りの補助として活用するのがポイントです。

3.入力してよい情報と、人に渡す範囲を決める

同資料は、個人情報が漏れたり、個人に関する情報が不適切に推測されたりするリスクも扱っています。[2]
氏名を消しただけで、どんな内容でも入力してよいとは考えないようにしましょう。

まず、会社で利用を認めたサービス、入力可能な情報、保存・共有の扱いを確認してください。

同僚の相談文や顧客とのやり取りを、そのまま外部サービスへ入れる前に、社内ルールや利用条件を確かめるようにしましょう。

また、人に相談するときも、AIとの会話全文を渡すのではなく、必要な論点と確認事項を抜き出す方法があります。
共有範囲を絞ることは、機密への配慮だけでなく、相手に何を確認してほしいかを伝える工夫にもなります。

「教えてもらう」以外にも、人と関わる理由をつくる

運動会でチームの作戦を考える参加者。

AIで情報を得られるようになっても、人と一緒に過ごす時間の価値はなくなりません。
仕事以外の共通体験にも目を向けてみましょう。

用件のない時間を、非効率と決めつけない

情報を得るための相談が短くなっても、同僚と一緒に楽しんだり、近況を話したりする時間までなくす必要はありません。
この雑談の時間こそ、相手の仕事への思いや、意外な得意分野に触れる機会になります。

例えば、普段は連絡だけで終わる他部署の人と、同じチームで運動会に参加する。
作戦を相談し、応援し、勝負を楽しむ。
その日は業務課題の答えを出さなくても、一緒に過ごす時間として大切にできます。

ただし、AIを使わずに交流することを競うのでも、全員に対面参加を求めるのでもありません。
日頃の連絡と、共同で何かに取り組む体験を、別の役割として用意することがポイントです。

共通体験の後に、もう少し相手を知る時間を

運動会屋では、運動会後に懇親会やBBQを開催し、体験を語り合う時間を設けることをおすすめしています。

競技の中で気になった作戦や、応援してもらった場面を話題にしながら、お酒や食事を楽しむ。
飲まない人も、自分に合う形で会話に加われる場にします。

さらに、そこで生まれた接点を、後日の仕事でも生かせるようにする。

AIに聞く便利さと、仲間と関わる時間を、取り合いにしない設計です。

もちろん、一度一緒に楽しんだだけで、信頼や協力が完成するわけではありません。実際の仕事で交わす約束や、日々のやり取りも引き続き大切にすることが大前提です。

まとめ|AIで整えた案を、人と進める仕事へ

AIは、疑問を解消し、考えを広げ、相談内容を整理する相手として活用できます。
その可能性を認めたうえで、職場の当事者にしか確認できない事情や、合意が必要な点を分けておきましょう。

案をつくる。
事実を確かめる。
相手の意見を聞く。
担当と進め方を決める。

AIをどこで使う場合でも、この違いを見失わないことが重要です。

AIで答えを整えることと、仲間と仕事を進めることを、つなぐ。

次にAIと整理した案を誰かへ渡すときは「確かめたいこと」と「一緒に決めたいこと」を添えてみてください。

人への相談を減らすか増やすかではなく、何を話し合うかから考えていきましょう。

運動会の企画をご検討の方へ

普段の仕事とは違う場で、社員同士が一緒に楽しめる運動会をお考えの方は、ぜひ運動会屋へご相談ください。
参加者の構成や、どのような接点をつくりたいかを踏まえて企画を考えます。

参考資料・関連情報

[1] Dell’Acqua, F. et al.(2026)“The Cybernetic Teammate: A Field Experiment on Generative AI and Teamwork.” Organization Science, 37(4), 1217–1242.

[2] National Institute of Standards and Technology(2024)“Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile.” NIST AI 600-1, §§2.2・2.4.

次回予告|第10回

部署を超えた交流をどうつくる?「偶然の出会い」を設計する5つのポイント

集まる場所や日程を決めるだけでは、誰と何を話すかまでは決まりません。
次回は、相手・タイミング・場所・話題・その後の接点から、部署を超えた交流を具体的に設計します。

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