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2026.10.21
運動会の企画

社員の定着を支える「横のつながり」とは?職場の孤立を防ぐ関係づくり│「一人で抱える」を、会社の当たり前にしない。

「新入社員が、仕事の進め方で困っている」「別の部署へ異動した社員が、誰にも相談できずにいる」といったときに、会社にはどのような相談先があるでしょうか。

直属の上司との面談や手順書の整備も大切ですが、同僚や他部署の人に気軽に質問できる機会を設けることが重要です。

制度上の相談窓口が設けられていても、日常のちょっとした困りごとは話しにくいものです。

質問することを本人の積極性だけに委ねず、気軽に相談できる環境を整えることが求められます。

今回は、仕事で孤立しないための「横のつながり」に着目し、相談先の役割分担や入社・異動後の関係づくり、運動会を通じた接点創出のポイントなどを紹介します。

退職の理由を、「交流不足」だけで説明しない

待遇や仕事の課題を、イベントで置き換えない

厚生労働省による2024年の雇用動向調査では、転職した人が前職を辞めた理由として、賃金や労働時間などの条件、仕事内容、人間関係などが挙げられています。[1]

この調査は特定の会社の退職理由を診断するものではありませんが、人間関係だけに原因を限定せず、多角的に考える手がかりになります。

たとえば、業務量や勤務時間に無理があるのならば、まずは労働条件を見直すことが必要です。

自分の役割が分からず困っている場合は、仕事のマニュアルや引き継ぎの方法を整えます。

「仲良くなれば続けられるはず」と、懇親会や運動会だけに解決を求めないようにしましょう。

本人の希望を聞き、会社が直せることを分ける

退職や異動を考える理由は、本人に話を聞いて初めて分かります。

会社として改善できることと、本人が選びたい働き方やキャリアは、分けて話し合うことが大切です。

横のつながりは、退職の意思を探ったり、引き止める人を増やしたりするための仕組みではありません。

困ったときに必要な情報や支援を得られる環境を整えるとともに、退職を選ぶ本人の意思も尊重する姿勢が求められます。

「横のつながり」は、上司をもう一人つくることではない

親友でなくても、聞ける相手がいる

仕事における横のつながりとは、上司との関係に加え、同僚や他部署の社員とも相談・協力できる関係を指します。

たとえば、複雑な手続きについて質問できる人や、他部署の担当者を紹介してくれる人、入社直後に感じた戸惑いを共有できる人など、必要に応じて気軽に質問でき、分からなければ適切な相談先につないでもらえる相手のことです。

同じ年齢や役職だけに限定する必要はありません。

社員全員と深く親しくなることよりも、質問や相談、意見交換、協力のしやすさといった「関係の質」を重視し、必要なときに助け合える関係性を築きましょう。

相談相手に、すべてを背負わせない

身近な相談相手に職場での評価や待遇、人間関係の悩みといったすべての問題を抱え込ませないことが大切です。

以下は、相談の内容によって正式な窓口や担当者につなぐための相談経路の例です。

相談したいこと最初の接点の例対応の役割を分ける
手続きや仕事の進め方業務を知る同僚・担当者承認が必要なことは各責任者につなぐ
他部署への依頼や連携先他部署の顔見知り・紹介役正式な依頼方法を説明し、担当窓口につなぐ
入社・異動後の戸惑い指名された相談役・人事担当仕事の説明不足や受入れ手順を見直す
評価・勤務条件・深刻な困りごと人事や会社が定める相談窓口権限を持つ社員や対応手順を知る担当者につなぐ

身近な相談相手で問題を解決しようとせず、内容に応じて適切な相談先につなぐことが重要です。

また、上司に話しづらい内容の場合を考慮して、安心して相談できる別の窓口も用意しましょう。

連絡先の一覧を、「話せる相手」に変える

少人数で顔を合わせ、話をする人たち

最初の紹介を、受け入れる側の仕事にする

「分からなければ誰かに聞いて」と伝えるのではなく、誰に何を聞けばよいのかまで具体的に案内することが大切です。

相談先の名前や担当業務はもちろん、質問しやすい方法や時間帯もあわせて伝えるとスムーズに相談できます。

たとえば、受け入れ担当者が短い顔合わせの場を設け、「申請の入力で迷ったらこの方に聞いてください。承認の判断は別の担当者が行います」と、役割を明確にして案内すると効果的です。

部署が離れている場合はオンラインを活用するなど、問題への対応を先延ばしにせず、普段使っている連絡手段で早急に対処できる環境を整えましょう。

相談役を置くなら、範囲・時間・交代方法まで決める

入社や異動直後の社員に日常の質問を受ける相談役を置くことで、困ったときに気軽に相談できる環境を整えられます。

相談役を任命する際は、相談を受ける範囲や専門の窓口につなぐ基準、対応に充てられる時間をあらかじめ決めておくことが大切です。

また、相談役の不在や繁忙期、相性や担当業務が合わない場合に備え、代わりの相談先を用意しておくことも欠かせません。

別の担当者に引き継ぐ際は、相談した本人の了承を得るようにしましょう。

さらに、相談内容を誰に共有するかについても、社内の対応手順に沿って事前に説明しておく必要があります。

必要な対応につなげるために情報を共有する可能性があるため、「すべて秘密にする」と安易に約束せず、加えて相談時の雑談まで上司に報告することのないよう、情報の取り扱いには十分に注意しましょう。

入社・異動後の1か月を、「紹介」で終わらせない

接点の数ではなく、使えるかどうかを確認する

入社や異動の初日に多くの人を紹介されても、誰が何の担当か把握しきれない場合があります。

実際に仕事を経験した後に相談経路を確認する機会を設けることで、それぞれの役割を理解しやすくなります。

以下は、入社・異動後の1か月間を想定した相談経路です。

期間や回数などは、すべての企業に当てはまるものではないため、自社の業務や受け入れ体制に合わせて調整しましょう。

時期受け入れる側が用意すること確かめる問い
最初の週業務の相談先と正式な相談窓口を短く紹介する何を誰に聞けるか分かりますか?
2週目実際に迷った場面を聞き、必要な担当者へつなぐ相談先が分からず止まったことはありますか?
3〜4週目他部署との仕事の接点を一つ紹介する依頼方法や担当者を確認できましたか?
1か月後相談役・受入れ担当者とともに体制を見直す連絡方法で改善してほしい点はありますか?

質問の機会は、仕事を評価する場と分けて設けることが大切です。

面談では話しづらいこともあるため、後から文章や個別連絡で相談できる方法も用意しておきましょう。

「相談先がない」と「返事がない」を分ける

相談がうまく進まないときは、相談窓口の設置だけでなく、その後の対応にも目を向けることが大切です。

相談相手が分からない場合は適切な担当者を紹介し、相談相手は分かっていても連絡しづらい場合は、相談する時間帯や方法を見直します。

相談しても返事がない際は、受け手の担当や対応手順に問題がないかを確認しましょう。

また、同じ質問が繰り返されたとしても、本人の理解不足と決めつけず、説明資料や担当分けが分かりにくくなっていないかを点検することが重要です。

相談内容を本人の評価に結びつけるのではなく、職場の仕組みや対応を改善するための手がかりとして活用しましょう。

運動会を、「知っている人だけの輪」から広げる接点に

運動会で応援し合う参加者たち

仕事とは違う場面で、一緒に関わる

仕事上の相談先を整えることと、普段は接点のない人と一緒に楽しむ機会をつくることは、それぞれ異なる役割を持ちます。

運動会は、同じチームで作戦を考えたり、お互いに応援したりすることで、他部署の社員と知り合うきっかけになります。

新入社員を含めてチームを編成する際は、知らない人ばかりでなく顔見知りの社員も加え、孤立を防ぎながら自然な交流を促すことが重要です。

最初にメンバーの名前や役割を確認し、競技への参加や応援、運営のサポートなど、本人が自分に合った関わり方を選べるようにしましょう。

ただし、「あの人は孤立しているから参加させる」といった扱いは避ける必要があります。

参加しない人や運動が苦手な人を問題視せず、競技以外で交流できる機会を設けることが大切です。

共通体験から、次に連絡できる関係へ

イベント後に懇親会やBBQを設ければ、競技の話題で会話が弾み、さらに交流を深められます。

その際は、お酒を飲まない人や早く帰る人も無理なく参加できるように配慮することが大切です。

運動会を通じて生まれたつながりを職場での会話に生かせば、接点の少ない社員同士を知る機会になるでしょう。

ただし、イベントに参加しなければ業務に必要な情報を得られないといった状況は避ける必要があります。

業務の相談窓口や連絡先は、イベントの参加にかかわらず、全員が確認できるようにしましょう。

まとめ|「誰かに聞いて」を、「この人に聞ける」へ

社員の定着を支えるには、待遇や仕事内容、労働条件も含め、離職につながる実際の課題を把握する必要があります。

そのためには、質問や悩みを一人で抱え込まずに済むように、社員同士の横のつながりを整えることが大切です。

困ったときに頼れる具体的な相談先を紹介するとともに、運動会などの共通体験を通じて新たな接点を生み出すことで、社員同士が支え合える環境をつくれます。

「困ったら誰かに聞いて」から、「困ったら、この人に聞ける」へ。

まずは受入れ時の案内を見直し、相談先の名前だけでなく、相談できる内容や連絡方法まで社員一人ひとりに伝わっているかを確認してみましょう。

運動会の企画をご検討の方へ

新しく入った社員と他部署の社員が、一緒に楽しみながら知り合う運動会を検討している方は、運動会屋へご相談ください。参加者の構成や希望する接点に合わせて、チームや参加方法を考えます。

参考資料・関連情報

[1]厚生労働省『令和6年 雇用動向調査結果の概要』「3 転職入職者の状況」(2)転職入職者が前職を辞めた理由、表5。

次回予告|第7回

心理的安全性を高めるには?研修と日常の関わりをつなぐ実践のポイント

相談する相手が分かっていても、言い出しにくいことはあります。次回は、質問・異論・失敗報告への応答を、研修と日常の実践につなぐ方法を紹介します。

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