運動会屋が発信する運動会に関するコラムです
「離職率は低い。でも、職場に活気がない」「会議は回る。でも、熱意や自発性が感じられない」
このような“静かな停滞感”を経営層の皆さんは感じていないでしょうか?目に見えるトラブルや離職がない一方で、挑戦や連携が生まれず、生産性や創造性が鈍っている。そんな状態が社内に蔓延しているとしたら、それは「静かな退職(クワイエット・クィッティング)」*が起きている兆候かもしれません。
*静かな退職:クワイエット・クィッティング( Quiet Quitting)
実際に会社を辞めるわけではなく、最低限の仕事だけをこなして、それ以上はやらない働き方を指す言葉
働き方改革や価値観の多様化が進む一方で、いま企業内で広がっているクワイエット・クィッティング。
一見すると問題なく出社し、与えられた業務は淡々とこなす。しかしそれ以上の挑戦や関与をしようとしない。そんな“心を引き上げてしまった社員”が増えつつあります。
では、そんな会社で「社内運動会」を開催したらどうなるのでしょうか?心を再び燃やすきっかけになるのか。あるいは火に油を注ぐ逆効果なのか。
今回は、静かな退職の背景と企業リスクを踏まえ、「社内運動会」という一見アナログな打ち手が、経営課題にどう作用し得るのかを紐解きます。
クワイエット・クィッティングとは?
社員が明確な不満や離職行動を取らないまま、業務に最低限だけ関わり、それ以上の挑戦・貢献・関係構築を避ける状態を指します。
- 余計な雑務や残業は断る
- 目立たず、波風立てずに過ごす
- 会社への貢献意欲は低いが、退職はしない
クワイエット・クィッティングの背景には、多くの人が共感を寄せる働き方の課題があります。たとえば、
- 努力しても報われない経験
- 長時間労働や曖昧な業務評価
- 給与と責任のアンバランス
- コロナ下を経ての「人生観・働き方の変化」
Z世代を中心に注目されがちですが、これは中堅~ベテラン層にも当てはまる傾向があります。「会社に裏切られた」「努力が報われなかった」「頑張っても評価されない」など、過去の経験から一線を引いているケースも少なくありません。
- こうした兆候を感じたら要注意
- 会議が事務的で、発言や提案が出ない
- 部門や担当間の助け合いや協働の文化がなく、サイロ化が進んでいる
- 中堅・若手社員の挑戦意欲や成長実感が失われ、次世代育成が進まない
つまり、“辞めないから大丈夫”ではなく、“動かないことこそ問題” という構造が静かに進行しているのです。
クワイエット・クィッティングが企業にもたらすリスク
- 生産性の低下:改善や創意的挑戦が生まれず、全体のパフォーマンスが鈍化。
- 組織文化の崩壊:チーム間連携や感情の交流が減り、無機質な組織になる。
- 優秀人材の流出:モチベーションの高い社員が孤立し、退職しやすくなる。
- 変化対応力の低下:挑戦や変革への意欲が希薄化、時代の変化に対応できない。
社内運動会実施による効果と結果の考察

静かな退職が蔓延する組織において、「社内運動会」はどのような効果をもたらすのか。
無関心な社員が動き出す契機となるのか、それともさらなる分断を生むのか。ここでは、代表的な2つの変化のパターンをもとにその可能性を考察します。
【1】新陳代謝が進むパターン
社内運動会を通じて、“組織の温度差”があらわになるケースです。
- 温度差の可視化:「やる気のある人/ない人」「巻き込み力のある人/受け身の人」が顕在化
- 関係性の再編:価値観を共有できる人材同士の結束が強まり、エネルギーが集中しやすくなる
- 離脱の契機にも:帰属意識が薄れている社員にとっては、離れるきっかけになる場合もある
この場合、離脱を“損失”と見るのではなく、「組織の健全な新陳代謝」として捉えることもできます。改めて、組織として重要視する人物像や、現状の配置・構成を見直す機会となるかもしれません。
【2】意識が変わるパターン
もう一つが、社内運動会が”自分ごと化”のトリガーとなるケースです。
- 感情を動かす体験:一緒に体を動かし、汗をかいて、笑って、失敗して…という非日常体験が、無関心からの脱却を促す
- 仲間意識の醸成:普段関わりのない人と「協力」や「応援」をすることで、コミュニティ意識が芽生える
- 存在価値の実感:業務とは異なる場面であっても、評価をされることで、自分の役割や価値を再発見。人間関係や関わり方が変わることも
こうした共通体験を通して、「自分の役割や居場所がここにある」「仲間のため、チームのために」という内発的な動機が生まれ、自然と組織への関与の質が変わっていきます。
結果として、内側から動こうとする意欲=“内発的モチベーション”が育つ土壌が整っていくのです。
「社内運動会」は温度差が顕在化し、離脱のきっかけになるケースもありますが、それは、“分断”ではなく、組織が「現状を把握し、次に進む」ための貴重な可視化のプロセスなのです。
社内運動会で期待される効果と結果

期待される効果
- 心理的安全性の再構築:協力や応援、一緒に笑い合う共通体験を通して、立場や部署を超えた安心感が生まれる。
- 自己効力感の向上:運動や体力競技で活躍することも、頭脳や戦略、盛り上げや連携で必要とされる機会がある。
- 横のつながりの促進:混合チームや共同作業によって、新しい関係性が構築される
- 感謝や承認の言葉が飛び交う:「ありがとう」「ナイスプレー」が自然と交わされることで、「ここに自分の居場所がある」と感じやすくなる
考えられる結果
- ポジティブな転換:「またやりたい」「あの人すごかった」という声が社内に自然発生し、チームの活性化が始まる。
- 無関心層の変化:「意外と楽しかった」「誰かに認められた」と感じた社員が少しずつ関与を始める。
- 逆効果の可能性:「やらされ感」「またか」という反応により、静かな退職層の分断がより鮮明になるリスクも。
社内運動会が「沈黙の職場」を動かす?

一見、時代錯誤にも思える「社内運動会」。しかし今、関係性の再構築やエンゲージメント回復の文脈で、注目が集っています。沈黙や停滞を打破するには、感情や関係性に働きかける“非日常の場”が有効です。
人は、共に身体を動かし、協力し、感情を共有することで、立場を越えた信頼関係を築きやすくなるもの。
オンライン化・効率化が進んだ現代だからこそ、あえて“感情が動く場”を設計する必要があるのです。
無関心層も巻き込むには?勤務の一環として位置づける

こうした取り組みを「福利厚生」や「任意参加」にとどめると、関心がある層しか動きません。社員の休暇は権利であり、個人の時間です。そこに“会社のため”のイベントを重ねると、抵抗感が生まれやすくなります。
だからこそ、社内運動会は“組織の健全な関係性づくりを目的とした、戦略的なインターナルコミュニケーション施策として、会社行事、勤務の一部に位置づけることが理にかなっています。
とはいえ、「体力勝負のイベント」という先入観のままでは逆効果になりかねません。そこで重要なのが、“設計”です。
- フィジカル競技だけでなく、頭脳や戦略、チームワークや一体感が結果につながる種目や演出を用意する
- 部署・階層を越えたチーム編成により、偶発的な対話や新しい発見を促す
- 何のために開催するのか、目的を問い直し、共感と納得を得られる構成を意識する
こうして、「誰もが関われる」というよりも、「自然と関わってしまう」「気づけば関わっていた」設計をつくることで、これまで静観していた社員も自ら巻き込まれていくようになります。
おわりに
静かな退職は、無関心と孤立が生んだ“心の防衛反応”です。社内運動会は、単なるレクリエーションではなく、「人と人が再びつながり直す場」として設計すれば、失われたエネルギーを呼び戻す可能性を持っています。
一方で、設計や意図を誤れば、「温度差」や「分断」を際立たせてしまい、無関心層の心をさらに遠ざける――まさに“火に油を注ぐ”結果にもなりかねません。
誰かを置き去りにするような内容になれば、むしろ逆効果になる。“社内運動会”は、諸刃の剣でもあるのです。
だからこそ大切なのは、「みんなで何かを成し遂げる」ことを通じて、一人ひとりが自分の存在意義や役割を実感できるような設計にすること。
少しでも「自分の行動が誰かのためになった」と思える瞬間があれば、人はもう一歩前に進もうとする。社内運動会はその一歩を生み出す舞台になり得るのではないでしょうか。
執筆:株式会社運動会屋 代表取締役CUO 米司隆明
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