2025.10.28
社内運動会

社員研修に使える助成金ガイド|中小企業が知っておくべき制度やメリット、申請の流れを解説

企業の成長を支える取り組みの一つが、社員研修です。しかし研修には多くの費用がかかります。

研修内容によっては、講師料や教材費、参加社員の人件費などを含めると、年間で数十万円から百万円規模に達することもあるでしょう。

 そのため、研修の費用負担の大きさから実施をためらう企業も少なくありません。それにより、人材育成の遅れや組織力の低下を招くケースも見られます。

こうした課題を解決する方法として、いま注目を集めているのが、国や自治体が実施する助成金制度です。

本記事では、全国の企業が活用できる代表的な助成金の種類や活用メリット、申請時のポイントなどを分かりやすく解説します。

経営者や人事・経理担当の方にとって、研修の費用課題を解決するヒントになるので、ぜひ参考にしてみてください。

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社員研修と助成金の基本知識

まずは、社員研修と助成金の基本知識について整理しておきましょう。

ここでは次の3つの視点から解説します。

●研修費用が中小企業の課題になる理由

●助成金と補助金の違い

●研修に助成金を活用する意義

それぞれ見ていきましょう。

研修費用が中小企業の課題になる理由

中小企業にとって、社員研修は費用面で大きな負担となります。

たとえば外部講師を招いた営業研修を行う場合、講師料や会場費、資料作成費だけで30万円近くかかることがあります。

さらに研修に社員が参加する時間も、人件費として計上されます。仮に5人の社員が1日研修に参加し、1人あたり日給1万円とすると、5万円の人件費が追加される計算です。

これを年間に数回実施すると、研修費用は軽く100万円を超えてしまいます。こうしたコスト負担から、研修を見送る企業も多いです。

しかし、人材育成を怠ると、社員のスキルやモチベーションの低下、さらには離職率の上昇といったリスクにつながります。

中小企業にとって、研修費用の削減は経営戦略上、非常に大きな課題といえるでしょう。

助成金と補助金の違い

次に、助成金と補助金の違いについて解説します。

助成金は、主に厚生労働省などの行政機関から支給されることが多く、要件を満たせば原則支給されます。

助成金は主に、中小企業を対象に設計されているものが多いです。一方で補助金は、経済産業省や地方自治体から支給されることが多く、審査に通過した企業に支給されます。

助成金も補助金も企業を支援するという点は同じですが、助成金のほうが支給ハードルが低く、補助金は審査に通過する必要があるというのが大きな違いです。

研修費用の負担を抑えながら支援を受けるには、助成金の活用が有効です。

研修に助成金を活用する意義

研修に助成金を活用する最大の意義は、限られた予算でも質の高い研修を実施できることです。

助成金制度の対象となる研修の多くは、外部の専門機関や派遣会社と連携できます。そのため、社内だけでは実施が難しい研修も助成金を活用することで導入が可能になります。

結果として、社員のスキルアップやキャリア形成、モチベーション向上が期待できます。研修に助成金を活用することで、企業全体の成長スピードの加速にもつながるでしょう。

全国で利用できる主な助成金制度

ここからは、全国で利用できる主な助成金制度について紹介します。

大きく分けて、「人材開発支援」「キャリアアップ支援」「両立支援」の3つがあります。

●人材開発支援助成金(厚生労働省)

●キャリアアップ助成金(厚生労働省)

●両立支援等助成金(厚生労働省)

それぞれの助成金制度について、詳しく見ていきましょう。

人材開発支援助成金(厚生労働省)

人材開発支援助成金は、従業員の職業能力開発や研修費用を支援する制度です。

中小企業が利用しやすいよう、以下のような複数のコースが設けられています。

人材育成支援コース

人材育成支援コースは、業務に直結するスキルを学ぶ研修費用や厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、非正規雇用労働者を対象とした正社員登用を目指す研修にかかる費用が助成対象です。

導入効果が高く、従業員のスキルアップに直結します。

教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コースは、有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、従業員がその休暇を取得して研修を受けた場合に助成されます。

欠勤や業務調整の負担が解消されるため、従業員も安心して研修に参加できるようになります。

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、デジタル人材・高度人材を育成する研修費用や、従業員が自分から受講した研修費用、サブスクリプション型研修サービスの実施費用などを対象に助成されます。

人への投資促進コースは、令和4年~8年度の期間限定助成です。

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースでは、新規事業や事業拡大に伴う研修費用が助成対象です。新たな事業戦略に合わせたスキル育成に最適です。

事業展開等リスキリング支援コースも、令和4年〜8年度の期間限定の助成金となっています。

キャリアアップ助成金(厚生労働省)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善にかかる費用を支援する助成金です。

労働環境を改善する姿勢を示すことで、従業員のモチベーション向上や、業務の生産性向上も期待できます。

両立支援等助成金(厚生労働省)

両立支援等助成金は、育児や介護との両立を支援するための制度整備にかかる費用が対象の助成金です。

男性労働者の育児休業取得や、育児休業取得者の代替者への手当支給など、誰もが気兼ねなく育児休業を取得できる環境を整えたときや、介護休業を取得したとき、柔軟な働き方選択制度を導入して従業員が利用したとき、不妊治療との両立をしやすい支援制度を労働者が利用したときなど、私生活との両立を叶えられるようにサポートする企業に助成されます。

助成金を活用するメリット

助成金を活用するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

●研修の質を高めながらコストを削減できる

●中小企業に特化した制度である

●外部機関や派遣会社と連携できる制度もある

それぞれ解説します。

研修の質を高めながらコストを削減できる

助成金を活用することで、外部講師や教材の費用負担を抑えつつ、より質の高い研修を導入できるようになります。

外部に研修を依頼する場合でも、自己負担を半分以下に抑えられるケースがあります。助成金を活用すれば、無理なく研修制度を充実させることが可能です。

中小企業に特化した制度である

多くの助成金は、中小企業を対象に設計されています。そのため、申請要件や手続きが比較的簡単で、大企業向けの制度よりも利用しやすい特徴があります。

初めて助成金を申請する企業でも、挑戦しやすく安心して手続きを進められるでしょう。さらにサポート体制が整っているケースも多く、専門知識がなくても申請できることもポイントです。

外部機関や派遣会社と連携できる制度もある

助成金を活用することで、外部機関や派遣会社との連携も可能になります。社内だけではカバーできない専門知識やスキルも、従業員に習得させられるでしょう。

さらに外部の専門家から直接指導を受けることで、研修の質も向上します。実務に直結したスキルの習得が期待でき、社員一人ひとりの能力向上が企業全体の成長につながって、長期的な人材育成の効果も高まります。

助成金活用時の注意点

助成金を活用する際の注意点として、押さえるべきポイントは以下の通りです。

●研修内容が助成対象外となる場合がある

●申請期間や期限が厳格に定められている

●書類不備や手続き遅れによる不採択リスクがある

それぞれ解説します。

研修内容が助成対象外となる場合がある

研修内容によっては、助成金の対象外となる場合があります。

助成金は研修目的や対象者が明確に定められており、趣味的な活動や業務に関連しない内容の研修は助成金の対象外となります。

申請の際に、研修内容や費用が助成金の条件を満たしているのかを必ず確認しましょう。条件を確認せずに進めると、後から助成金が受けられない場合もあるため注意が必要です。

申請期間や期限が厳格に定められている

助成金の申請期間や期限は厳格に定められており、過ぎてしまうと申請できません。

そのため研修開始前に計画を立て、必要書類の作成や提出までのスケジュールを確実に立てることが重要です。

書類不備や手続き遅れによる不採択リスクがある

助成金の申請にあたり、書類の不備や手続きに遅れがあると、不採択になるリスクがあります。余裕をもって準備を進めることが、成功のポイントです。

必要があれば、外部の専門家に相談するのも効果的でしょう。手続きの不安を減らし、スムーズな申請につながります。

 助成金受給までの流れ

助成金受給までの流れは、以下の通りです。

1.研修プログラムが対象か確認

2.実施内容・計画を確定

3.実施計画書を作成・提出

4.研修を受講(実施)

5.研修後に申請書を提出

6.書類審査・面接を経て採択決定

7.助成金受給

詳しく解説します。

1.研修プログラムが対象か確認

はじめに、自社で実施予定の研修が助成金の対象になるかを確認します。

内容、受講者、期間など対象の条件は助成金ごとに異なりますので、制度のガイドラインや公式サイトで必ず確認しましょう。

2.実施内容・計画を確定

研修の目的やテーマ、対象者など実施計画を具体的に確定します。

助成金を申請するには、明確な計画を立てておく必要があります。できるだけ詳細にまとめておきましょう。

3.実施計画書を作成・提出

助成金申請用の実施計画書を作成し、提出します。

計画書には研修内容やスケジュール、参加人数、予算などを正確に記載する必要があります。

4.研修を受講(実施)

申請した計画に沿って研修を実施します。

受講者の出席簿や研修資料、写真、アンケート結果などを実施の証拠として記録・保管しておきましょう。

5.研修後に申請書を提出

研修が終了したら、申請書を提出します。

経費の請求書や領収書なども提出できるよう、整理しておきましょう。

6.書類審査・面接を経て採択決定

提出書類に基づき、助成金事務局による審査や面接が行われます。

審査では研修の必要性や計画実現の可能性、予算の妥当性などがチェックされます。

7.助成金受給

採択が決定すると助成金が受給できます。

受給後も研修に関する記録や領収書は、一定期間保管が必要です。

【目的別】おすすめの社員研修

社員研修と一口に言っても、目的によって内容や進め方は多岐にわたります。

ここでは、目的別におすすめの研修内容を紹介します。

●新入社員研修

●管理職研修

●専門スキル研修

●営業職研修

●マーケティング研修

それぞれ見ていきましょう。

新入社員研修(基礎知識・マナー習得)

新入社員研修は基礎知識やマナー、業務フローの理解を目的とした研修です。

外部講師を活用すると、社会人スキルを体系的に学ぶことができます。

管理職研修(マネジメント力向上)

管理職研修は、マネジメント力や問題解決能力向上を目的に実施する研修です。

ケーススタディやロールプレイ研修が効果的です。

専門スキル研修(IT・技術系スキル強化)

ITスキルや技術系スキルの強化、資格取得支援など、専門的なスキルの習得を目的とした研修です。

専門スキル研修は高額になりやすいですが、助成金を活用することで研修費用を抑えられます。

営業職研修(提案力・営業力アップ)

営業職研修は、提案力や交渉力、顧客対応力の向上を目的とした研修です。

営業ロールプレイや実践演習を取り入れることで、即戦力の育成も可能です。

マーケティング研修(デジタルマーケ対応など)

マーケティング研修は、デジタルマーケティングや分析スキルの強化を目的とした研修です。

助成金を活用して専門機関の研修を導入することで、最新手法を学ぶことができます。

まとめ

中小企業にとって社員研修は成長戦略の要となる一方で、費用面が大きな課題となることも少なくありません。

しかし、国や自治体の助成金制度を活用すれば、費用負担を抑えながら、質の高い研修を行うことができます。

制度の条件や申請手順を理解し、計画的に進めることで、社員のスキルアップやキャリア形成にもつながるでしょう。

「研修を実施したいけれど、費用面が心配で踏み切れない」という経営者や人事・経理担当の方は、ぜひこの記事を参考に、助成金制度の活用を検討してみてください。

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