2020.08.31
元気が出る1分コラム

ポストイットは失敗から得たひらめきで生まれた

日本を元気にする!運動会屋遠藤のつぶやき Vol.87

私たちは、毎日、圧倒的な量の情報を浴びています。アメリカで行われた生産性に関する調査によると、一般的なオフィスワーカーの業務の8割以上をSNS、メール、会議などに参加する仕事が占めているそうです。私たちは、毎日、何かを考えて何かを決めていきます。しかし、いま私たちの環境は、いつまでも迷い続けられるほど、必要十二分な情報が瞬時に手に入る状況にあります。そのため、私たちは迷います。

そんな中で、「ひらめきや直感」を信じようという考えがネットにたくさん掲載されています。一方「論理的にロジックで考えるべき」という考えもたくさん掲載されています。この考えはどちらも正しく、どちらも利用していくことがいいのではないかと、私自身は思います。

一例を紹介します。みなさんのデスクに必ずある「ポスト・イット」の開発過程の話しです。ポスト・イットを開発したのは、強力な接着剤を開発していた米国のスリーエム社です。とある新製品を開発中に、様々なものにつくけれどすぐに剥がれてしまうような粘着力が若干弱い試作品ができたそうです。本来の目的からすれば、この試作品は失敗でしたが、この試作品の開発に携わった研究者が、「この弱い粘着力が、何かの役に立つかもしれない」と心の声のような直感を感じたそうです。しかし、具体策は全く浮かばないので、社内の同僚に見本を送り、具体的な使い道を探り続けました。5年の月日が流れ、ある同僚が、教会の讃美歌集からしおりが落ちるのを見たとき、「あの接着剤を使えば、落ちないしおりが作れるかもしれない」と再び心の声のような直感を感じ、更に研究すること3年。ついに、世界的に大ヒットしたポスト・イットが製品化されたのです。

私たちの感覚としては、論理的に考えて、その後、その考えを寝かせる、少し脳に任せてみるという感覚がいいのではないかと思います。みなさんも、そのことを考えていたわけではないのに、散歩をしているときにアイデアがひらめいたりしたことがあると思います。

この点、私たちが“直感”だと感じるものは、脳科学で「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる、無心になっているときに脳内で働いている回路によるものなのだそうです。この回路が働きだすと、脳内で眠っていた別々のアイデアがつながりはじめます。

私自身も、何かを作るときには、いちど考えてまとめてから、数日そのままにして、再度、考えて完成させるタイムスケジュールを組みます。

直感も論理的思考も駆使しながら、脳の無限の力を引き出して、不安定な時代に新しい価値を提供していきましょう!

この記事を書いた人
遠藤 直哉

ファシリテーター

遠藤 直哉

コラム一覧へ